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宇久島にて

五島列島最北の島、宇久島。人口2000人。もちろんコンビニはありません。

 

そんな島の小学校の養護教諭に「弁当の日」の意義を伝えて欲しいと、小中高校合同講演会の講師を依頼されました。

 

対象は小学1年生から高校3年生まで85人。島にいる子供たち全員です。様々な講演をこなしてきた私にとっても初めての経験でしたが、一生懸命、私の役割を務めさせていただきました。

 

ここにいる子供たちは、みんな、いつかは島を出ていきます。依頼者の先生たちは、「弁当の日」を通じて、ここを出るまでに健康で元気で生きていくための力を身につけて欲しいと願っているのです。だから私からも、自炊で生きていける力を身につけることがいかに大切か、心を込めて訴えました。

 

島を出て一人で暮らすと、大変な苦労をすることもあるでしょう。そんな時、故郷の味を思い出しながら手料理を作って、誰かと一緒に食べてみたらよいのです。そしたら「明日からまた頑張ろう」という気持ちになれるでしょう。その料理を食べた人から「あんたがおって良かった」と言ってもらえるでしょう。

 

料理を作るという行為は、自分のためだけになされるのではありません。料理を誰かにふるまうとき、そこには他者を思う心が込められ、他者を喜ばせる力が宿ります。これまでに自分に注がれた沢山の愛情を、他者へと注ぐ機会をもたらします。新たな出会いを演出し、新たな仲間とつなげてくれる力を持ちます。それらは、決してお金で買うことができないものです。

 

中学校では、年に、2回の「弁当の日」をやっているそうです。来月には、小学校でも「弁当の日」が始まるようです。最後にお礼の挨拶をしてくれた高校生は、毎日、自分で作った弁当を持って来ているのだそうです。

 

やがてこの島の小中学生たちが自炊をすることが日常の風景になれば、高校生になる頃には、生徒たちは、毎日、自作の弁当を持って来きて、みんなでワイワイ言いながら、料理を交換しあって食べるのが当たり前になるでしょう。そうして育ったこの島の若者は、何処へ行っても、いつも心の中で島の仲間たちと一緒に過ごした楽しい日々を思い起こしながら、毎日、料理を作って幸せに暮らし、いつか故郷の人に喜んでもらえる人になろうと頑張ってくれるでしょう。

 

島からのフェリーが着岸した佐世保港は、フェリーの何倍もの大きさの豪華客船から降りて来た、中国人観光客で賑わっていました。ひょっとすると、自炊力を身につけた宇久島の子どもたちが、海外から日本を訪れる人たちに、自慢の手料理をふるまい、故郷での思い出を語ったり、故郷に外国の人を連れて来たりする日が訪れるのかもしれません。

 

そんなことをあれこれ考えていたら、あっという間に2日間が過ぎてしまいました。できれば、この島にはまた来て、今日出会った子どもたちの成長を見届けられたらと思います。

 

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